こんにちは。
西宮の皮フ科かわさきかおりクリニック院長 川﨑加織です。
本日は意外と知らなかった抜け毛と鉄分の関係についてお話いたします。
鉄欠乏性貧血って知っていますか?
髪の健康に欠かすことのできない鉄分。髪の悩みで来院される更年期前の女性に採血を行うと、多くの方は「貧血」が見つかります。
最も多いのは健診などではひっかからない「隠れ貧血」の状態。これは、一般的な健診で見ているヘモグロビンは正常なのですが、詳しく調べるとフェリチンという貯蔵鉄の値が非常に低い「鉄欠乏性貧血」と言われているものです。
お財布と銀行の話
イメージとして、ヘモグロビンはお財布、フェリチンは銀行という感じです。
健診でお財布だけ見ていて「はい、大丈夫です」と油断します。
だけど預金通帳をみると、お財布の中に全財産が入っていて実は銀行はスッカラカンで、生きるのが精一杯な状態。命に関わる臓器に鉄分を供給するのが最優先なので、とても毛なんて生やしていられない実態です。
よって「毛は抜けさせますよー!」といって体のメカニズムが生体防御反応として勝手に作動して抜け毛が起こっている、という流れです。
貧血を放置するとどうなるのか
そのことに気づかずに多くの人は「元々貧血だから」と未治療のままなにもされていない方が多くいらっしゃいます。抜け毛や肌荒れというのは、その貧血が体表に出しているサインの一つです。体の異変を知らせたくて、人が一番に気づきやすい部位にそのサインが出てきた証拠なのです。ですから出産後に髪の毛がごそっと抜ける現象は納得ですよね。
出産時に大量の出血があるだけでなく、そもそも胎内の赤ちゃんも血液でできていますし、母乳も元は血液です。当然貧血の母親からは貧血の赤ちゃんが生まれてしまいます。
産前産後の抜け毛は当たり前と考えずに、食事や良質のヘム鉄サプリメントを摂る事で予防もできますよ。
当院では抜け毛のご相談に来院された方に必要に応じて鉄欠乏性貧血を調べる検査も行っております。
たかが貧血と思わず、一度向き合ってみませんか?
結果の診察の際には食事療法やサプリメントについて丁寧に説明させていただきます。
次回は鉄分についてもう少し詳しくお話しさせていただきますね。